酒と豊穣の神・バッカスに仕える巫女、HALがお届けするお酒にまつわる物語
 
 
もう秋か。──それにしても、何故、永遠の太陽を惜しむのか。ランボオの『地獄の季節』の一節です。ため息が出るほど暑かった夏も、終わってしまうと何だか淋しくなります。今月は、秋にふさわしいショートカクテル「ジャックローズ」のご紹介です。

夜に咲く真紅のバラ。口に含むと、ほのかにりんごの香り……。このカクテルのベースは、りんごのブランデーです。アメリカ産のアップルジャックが名前の由来。現在ではカルバドス(Calvados)を使っています。

カルバドスは、フランスのカルバドス地方で作られています。りんごが原料の発泡酒、シードル(Cider)から作る蒸留酒の総称です。余談ですが、ブルターニュ地方を旅行した際に、そば粉のクレープと共に飲んだシードルは、格別の美味しさでした。サイダーの語源はこのシードルです。

カルバドス

カルバドス

カクテルグラスも美しい

カクテルグラスも美しい

写真のカクテルは、銀座6丁目の[Bar.R]、森勝宏氏にお願いしました。今回使用したカルバドスはロジェ・グルー社のヴェネラブル(VENERABLE)。“古い年代を経た”という意味があり、20年以上の熟成古酒をベースにしていることを示します。鮮やかな赤みを生み出すグレナデン(ザクロ)シロップを味見させていただきました。とろりとした濃縮感。ただ甘いだけでなく、程よい酸味があります。遠い昔に味わったことがあるような、懐かしい甘さ。

「夏場はさっぱりとしたものが好まれますが、秋になると味の濃厚さ・深みをお楽しみいただけます。ジャックローズは今が旬のカクテルです」と森氏。シェーカーを振る姿は、様式の美。冷えたグラスがルビー色に染まります。森氏が作る至福の一品を皆様も是非ご賞味あれ。

~ 基本レシピ ~
カルバドス2/4、ライムジュース1/4、グレナデン1/4
シェークし、グラスに注ぐ(90ml容量)

[Bar.R]中央区銀座6-5-14 能楽堂ビル別館6階 03-3571-0068